国税の徴収権の消滅時効


相続税贈与税のカテゴリーとは関係ないかもしれませんが・・・、

相続税が発生しそう!という知り合いから次のような質問がありました。



6年か7年ほど前に上場株式の名義を被相続人である父から自分(子)に変更した。

この名義変更した上場株式も全て今回の相続財産に含めるべきか?



相続財産に含めるかどうかは贈与契約が成立しているのか等、個別検討事項になりますが、

贈与だとしたら贈与税の問題がありますよね。

例えば、贈与税の納付義務があることを知らなかったため納税していなかった場合など・・・。



国税通則法によれば〜

国税の徴収権については、その権利を行使できる期間に制限があり、

当該期間を経過すれば、もはや国税の徴収はできません。(消滅時効

ということです。

その期間とは?

原則5年です。

いつから5年?

その国税の法定納期限の翌日から5年です。


例えば今回の贈与が平成16年中にされていれば

贈与税の法定納期限である平成17年3月15日の翌日から5年です。

と言いたいところですが、贈与税については6年とされています。

相続税法第36条は下記のようになっています。


贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)
第三十六条  税務署長は、贈与税について、国税通則法第七十条 (国税の更正、決定等の期間制限)の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正若しくは決定(以下この項及び次項において「更正決定」という。)又は賦課決定(同法第三十二条第五項 (賦課決定)に規定する賦課決定をいう。以下この項及び次項において同じ。)を当該各号に定める期限又は日から六年を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十一条第一項 (国税の更正、決定等の期間制限の特例)の規定の適用については、同項 中「が前条」とあるのは「が前条並びに相続税法第三十六条第一項及び第二項(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「、前条」とあるのは「、前条並びに同法第三十六条第一項及び第二項」とする。
一  贈与税についての更正決定 その更正決定に係る贈与税の第二十八条第一項又は第二項の規定による申告書の提出期限
二  前号に掲げる更正決定に伴い国税通則法第十九条第一項 (修正申告)に規定する課税標準等又は税額等に異動を生ずべき贈与税に係る更正決定 その更正決定に係る贈与税の第二十八条第一項 又は第二項 の規定による申告書の提出期限
三  前二号に掲げる更正決定若しくは期限後申告書若しくは修正申告書の提出又はこれらの更正決定若しくは提出に伴い異動を生ずべき贈与税に係る更正決定若しくは期限後申告書若しくは修正申告書の提出に伴いこれらの贈与税に係る国税通則法第六十九条 (加算税の税目)に規定する加算税についてする賦課決定 その納税義務の成立の日
2  偽りその他不正の行為によりその全部又は一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた贈与税(その贈与税に係る加算税を含む。)についての更正決定若しくは賦課決定又は偽りその他不正の行為により国税通則法第二条第九号 (定義)に規定する課税期間において生じた同条第六号 ハに規定する純損失等の金額が過大にあるものとする同号 に規定する納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)についての更正は、前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正決定又は賦課決定の区分に応じ、当該各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。
一  贈与税に係る更正決定 その更正決定に係る贈与税の第二十八条第一項又は第二項の規定による申告書の提出期限
二  贈与税に係る賦課決定 その納税義務の成立の日
3  第一項の場合において、贈与税に係る国税通則法第七十二条第一項 (国税の徴収権の消滅時効)に規定する国税の徴収権の時効は、同法第七十三条第三項 (時効の中断及び停止)の規定の適用がある場合を除き、当該贈与税の申告書の提出期限から一年間は、進行しない。
4  前項の場合においては、国税通則法第七十三条第三項 ただし書の規定を準用する。この場合において、同項 ただし書中「二年」とあるのは、「一年」と読み替えるものとする


ちなみに偽りその他不正の行為により(つまり脱税により)、納税を免れた場合等は7年ということになります。


(総理大臣であられた鳩山氏の件を思い出してしまいますね・・・)

この国税の徴収権の消滅時効は援用を要しません。
消滅時効を主張しなくても成立する)




贈与については贈与者(親)と受贈者(子)による受贈の意思表示が前提ですので、
名義預金等はそもそも贈与契約が成立していません。よって時効云々ということにはなりません。